この記事は vExpert Advent Calendar 2025 の3日目の記事です。
はじめに
これから、VCF 9.0以降のリリースでVCF Automation(以下、VCFA)のOrganization for All Applications(以下、All Apps 組織)を構築する方が増えると見込んでいます。
その際にVCF 9.0、NSX、Supervisor、VCFAの知見があったとしても、理解しづらいことがあると危惧しています。
今回は実際に構築を行った際に役に立った情報の中で、特にVCFA 9.0の組織作成におけるネットワークモデルの情報についてまとめました。
ぜひ活用ください。
VCFA All Apps 組織 全体像の把握
プロバイダ管理
VCF 9.0からVCFAにはプロバイダ管理機能が追加されました。
プロバイダ管理では2種類の組織(Organization)を作成して管理します。
- Organization for All Applications (All Apps 組織)
VCF 9.0から登場した、利用が推奨されているマルチテナントモデル - Organization for VM Applications (VM Apps 組織)
VCF 9.0未満からある、Aria Automationユーザー向け既存環境継続モデル
つまり、これから始める場合は「All Apps 組織」を作成することになります。
プロバイダ管理の詳細については以下のドキュメントをご確認ください。
プロバイダ管理
All Apps 組織
All Apps 組織を作成するには、「NSX VPC」と「Supervisor」の構成が必要となります。
これはVCFAの自動化機能でネットワークやネームスペースなどの自動作成ができる必要があるためです。

VCF 9.0でVCFフリートやVCFインスタンスのマネジメントドメインの構築が完了したら、ワークロードドメインの作成中にオプションとしてSupervisorを有効にする、またはワークロードドメイン作成後にvSphere ClientからSupervisorを有効にします。
ワークロードドメインの作成中にオプションとしてSupervisorの有効化をしたほうが、自然な流れで「Default Project」「Default Transit Gateway」「Default VPC」を使用する形で構成できるため、後述する設計の推奨事項に関連しておすすめです。
なお、Supervisorをデプロイする際に始めやすいのは、管理ゾーンを「単一ゾーン」、ロードバランサをNSX LBで構成することです。Aviがある場合はロードバランサを「Avi」で構成することで将来のリスクを回避できます。
このようにNSX VPCとSupervisorを構成したら、VCFAのUIから組織を作成することができるようになります。
NSX VPCとSupervisorの構築方法については以下のドキュメントをご確認ください。
NSX VPC ネットワークを使用して スーパーバイザー をデプロイする
構築方法を確認する際には、まずワークフローから確認するのが混乱しないためおすすめです。
スーパーバイザー の NSX VPC ワークフロー
急に出てきたVPCってそもそも何?という方は、ぜひ@m-enoさんのブログを参照ください。
NSX 9(VCF 9)のVPC①: NSX 4.xとの違いについて #NSX-T - Qiita
中央集中型ゲートウェイ
NSX VPCを使用するSupervisorを構築する場合は「中央集中型ゲートウェイ」で構成する必要があります。
中央集中型ゲートウェイには「NSX Edge」が必須となります。
NSX EdgeはNSX LBを使用する場合、「Largeサイズ以上」でデプロイする必要があります。
ステートフルサービスの提供が必要であるためTier-0 ゲートウェイ高可用性(HA)モードは「アクティブ/スタンバイ」にします。
中央集中型ゲートウェイの構築方法については以下のドキュメントをご確認ください。
中央集中型ゲートウェイの構成
実際に構築した際にFailedしたのは、TEPの疎通性がなかったりBGPのピアがはれなかったりといった物理ネットワーク関連のエラーでしたので、やはりスムーズなVCF(NSX)構築のキモは安定したNSX用の物理ネットワークを準備することであると、また実感することになりました。
設計の要件と推奨事項
ネットワーク消費モデル
All Apps 組織の構築を目的とした場合、ネットワーク消費モデル(Network Consumption Model)は「VCF Automation All Apps Orgsモデル」となります。
Broadcom TechDocs: VCF 9.0 - ネットワークモデル
このモデルではVCF Automation UI/APIを介してVPCを管理します。
VCF 9.0ではVPCをNSX UI/APIやvSphere Clientからも管理できますが、このモデルを選択した場合はVCFAからVPCを管理し、NSXからは管理しません。
このモデルでは同じワークロードドメインに異なるネットワーク消費モデルを混在させることは推奨されていません。
そのため、この設計の推奨事項を考慮すると、異なるネットワーク消費モデルにあたる「VPCネットワーク仮想化モデル」、「NSXセグメントネットワーク仮想化モデル」、「VLANネットワークモデル」を使用する場合にはワークロードドメインを分けて構築し、あくまでAll Apps 組織を構築するワークロードドメインはVCFAでのみVPCを管理したほうがよいです。
ワークロードネットワーク詳細設計
All Apps 組織でサポートされているのは「フルサービスモデルを備えたVPC」のみなので、以下のドキュメントに記載されている設計の要件や推奨事項を考慮すればよいです。
VPC およびフル サービスのワークロード ネットワーク モデル
ゲートウェイのデプロイオプションについては、「マルチテナントの使用パターン」が6つあるので、あらかじめどのパターンに該当するかを確認したうえで、該当するデプロイオプションの設計要件と推奨事項を確認することになります。
マルチテナントの使用パターン
まとめ
今回はネットワークモデルを理解するための助けとなるであろう情報をまとめてみました。
そんなことはいいからこれらを満たしている環境を触らせてくれという方は、ぜひVMware HOLの製品フィルタでVMware Cloud Foundation Automationを選択して表示されたラボを開始してみてください(例えば、HOL-2601-21-VCF-Lでよいです)。
もう動いてます。





























